【 源氏語り五十四帖 】下巻 (全8巻) オリジナルテキスト付き

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【 下巻 】

第四十回 匂宮・紅梅におうみや・こうばい
光源氏亡き後、その子孫には光源氏ほどの輝きを持った方はいらっしゃらなかったと、匂宮の冒頭は語ります。それほど偉大な人物を失った虚脱感は大きかったのです。その後に続く者として、匂宮と薫はそれぞれ人気を集めていますが、匂宮には誠実さが、薫には華が足りません。出生の秘密を抱える薫は女性に積極的になれず、対照的に匂宮は極端に色好みで移り気です。その匂宮が柏木の弟紅梅大納言の宮の御方に惹かれる物語を描いたのが『紅梅』巻です。父大納言は、二番目の姫君の婿に匂宮を迎えたいと思っていました。ところが、匂宮は、話題に登らない北の方のつれ子(蛍宮の娘)宮の御方に惹かれて、このあやにくな恋に夢中になりそうな気配だったのです。

第四十一回 竹河たけかわ
関白髭黒が亡くなった後、玉鬘は残された二人の息子と二人の娘を抱え、息子たちの出世や娘たちの処遇に頭を悩ませていました。長女はとりわけ美しかったので入内を勧められていたのですが、玉鬘は若き日の冷泉帝への憧れを思い出して、冷泉院に入内させてしまいます。幸い、院の寵愛は深かったのですが、そのことがかえって、周囲のお妃たちの嫉妬を呼んで長女は苦労の多い宮仕えの生活を送ります。この結婚に不満を抱かれた帝には妹中君を尚侍として替わりにさしあげて、寵愛を獲得します。美しかった姉よりも妹の方が幸せを獲得するなりゆきに、わりきれないものを感ずる娘の母とのすれ違いを、薫の長女への片思いとともに語ります。

第四十二回 橋姫 はしひめ
不遇の皇子八宮の一生から説き起こされた続編「宇治十帖」の幕開けです。光源氏の弟八宮は政治的に不遇で、北の方も失い、都の邸も火事で失って宇治の別荘に残された娘二人と住んでいました。その八宮のもとに、薫が仏道修行のためにしきりと訪れるようになったのです。薫はふとしたことで八宮の二人の姫君が音楽を合奏しているところを覗き見、彼女たちに惹かれてしまいます。さらにこの邸には薫の出生の秘密を知り、柏木の遺言を所持する弁君もいることを知らされると、その秘密を守るためにも、姫君たちの一人を妻としたいと考え始めます。特に考え深い大君に惹かれた薫は、大君との結婚を夢見て、以前よりも頻繁に宇治を訪れ始めます。

第四十三回 椎本しいがもと
死期の近いのを感じた八宮は、残されることになる二人の姫君たちを心配し、薫に二人のことを託していきました。しかし真面目人間の薫には、姫君の一人の婿になってほしいとまでは言い出せず、娘を委ねたい素振りを見せたのであったのですが、娘たちには、いい加減な男と結婚して宇治を離れてはいけないとだけ言い置いて字治山で発病し、そこで亡くなってしまいます。

第四十四回 総角 一あげまき
八宮の死後、姫君たちは身を縮めるように生きていましたが、援助者であるはずの薫の行動には変化が見られます。八宮の一周忌近くに訪れた際に、薫は強引に応対に出た大君を口説き明かしたのです。以後姫君たちは警戒を強めますが、薫は繰り返し大君に迫り、中君とも一夜を語らい明かすこととなります。大君との関係が進捗しないのをあせった薫は、匂宮を導いて強引に中君と結婚させてしまいます。

第四十五回 総角 二あげまき
匂宮と中君はその発端から波乱含みでした。明石中宮がこの結婚に反対で匂宮はなかなか宇治へ行けません。男の心変わりと受け止めた大君は中君以上に悲観し、絶望のあまり生きる気力を失い、物を食べなくなります。大君の容態の急変に気づいた薫はそのまま宇治に残り、付き添って看病を続けますが、その甲斐なく大君は亡くなってしまいます。大君の透明で凄絶な死が印象的な宇治十帖前半のクライマックスです。

第四十六回 早蕨さわらび
大君が亡くなった翌年春、取り残された中君のもとに阿闍梨のもとから早春の山菜が届けられます。八宮生前からの慣例でした。中君は匂宮のいる二条院に引き取られることがにわかに決まり、女房たちはその準備に浮き立っていますが、薫から大量に送られてきた移転のための衣装や布地を見るにつけ、中君の心は複雑でした。

第四十七回 宿木 一やどりぎ
大君への思いを引きずる薫に思いがけない縁談が起こります。帝が母藤壺女御を亡くしたばかりの女二宮の婿に薫を考え始めたのです。その結果、夕霧は娘六君の婿を匂宮一本にしぼり、明石中宮の賛成も得て、強引に婚姻を承諾させます。勢力のある六君との結婚を知って中君は激しく動揺し、宇治を離れたことを後悔、薫に宇治への同伴を望むようになります。

第四十八回 宿木 二 やどりぎ
実は中君は匂宮の子を妊娠しており、それゆえにまた悩みも深かったのです。薫の異常接近に気づいた匂宮は激しく嫉妬し、中君は異母妹浮舟の存在を薫に教え、その執着をそらそうとしました。中君はやがて匂宮の王子を出産し、その翌日薫も女二宮と結婚。その晴れやかな儀式の座にあっても、薫は宇治のことを忘れず、大君の身代わりを宇治に据えたいと願い続けていたのです。

第四十九回 東屋あずまや
浮舟の母中将の君は、左近少将を浮舟の婿に選び、婿取りの準備を進めていました。ところが常陸介の経済力をあてにしていた少将は結婚当日に実子(浮舟の妹)に乗り換えてしまいます。居場所のなくなった浮舟は二条院の中君の元に身を寄せますが、ここで匂宮に発見され、あやういところで匂宮の手を逃れた浮舟は、三条小家で薫と結ばれ、翌朝車で宇治に移されました。

第五十回 浮舟 一うきふね
浮舟が薫によって宇治に囲われているらしいことを突き止めた匂宮は宇治を訪れ、彼のふりをして浮舟と結ばれ、さびしい日々を過ごしていた浮舟の心をその情熱で奪い取ってしまいました。宇治を訪れた薫は浮舟の変化に女としての成長を感じ取るばかりでした。匂宮は雪の中、浮舟を対岸の別荘に連れ出し、耽溺の二日を過ごします。

第五十一回 浮舟 二うきふね
匂宮に強く惹かれた浮舟の元に、薫から京へ迎えようとする意向が知らされました。それを知った匂宮は一足早く浮舟を京に迎える算段を整えます。どちらを選ぶべきか迷う浮舟に対し、母や乳母はひたすら薫の京引き取りを待ち、その準備に余念がありません。やがて薫も匂宮と浮舟の関係に気づき、絶望した浮舟は三角関係を解消するために入水しようと決意したのです。

第五十二回 蜻蛉かげろう
浮舟は入水したのではないかと誰もが嘆き悲しむ中、母も宇治へ到着し、亡骸のないまま葬儀が行われました。匂宮は衝撃のあまり病の床に伏しましたが、薫はすぐには宇治を訪れませんでした。ようやく宇治を訪れた薫は浮舟のようすを聞き涙に暮れ、匂宮も浮舟の女房を呼び寄せ、真相を聞きました。共に浮舟の死を悲しんだ二人でしたが、やがて匂宮は都の女性に心を移し、薫だけが浮舟のことを忘れず偲び続けていました。

第五十三回 手習てならい
入水したと思われた浮舟は大木の根本で記憶喪失状態で発見されました。発見したのは、横川の僧都・母尼・妹尼の一行でした。妹尼は亡くなった娘の身代わりと喜んで浮舟の世話をします。三カ月ぶりに小野山荘で意識を取り戻した浮舟は過去のことを思い出し、もう二度と板ばさみに戻りたくないと、横川の僧都に頼んで出家してしまいます。

第五十四回 夢浮橋ゆめのうきはし
横川の僧都の噂話から、浮舟らしい女のことを聞きつけた薫は、比叡山に登って横川の僧都に会い、浮舟発見から出家に至る経緯を聞き出しました。薫は僧都に浮舟との関係を告白し、面会を求めました。僧都も苦慮しながら浮舟あてに手紙を書き、還俗して薫ともう一度やり直すことを勧めたのですが、浮舟はそれに答えようとしないまま、薫からの手紙にも背を向けるのでした。

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