「収録を終えて」 講師のことば
『枕草子』 フェリス女学院大学名誉教授 三田村雅子
『枕草子』
フェリス女学院大学名誉教授
三田村雅子

収録を終えて
『枕草子』は子どものころからの愛読書で、『源氏物語』とともに、何回も何回も繰り返し読んで飽きることがありませんでした。大学生になって研究会を組織して、ずっと読み続けてきました。
わたしは人前で話をすることが苦手で相手の目を見て話すことのできない内向きの性格でしたが、なぜかこの『枕草子』だけは、自分の話していることが相手にどのように届いているか知りたくて相手を見て話すことができました。大学の教員になっても、テレビでお話していても、『枕草子』のことになると、自然と力が入り、燃えてしまうのです。
それは、『源氏物語』と比べて、『枕草子』の評価が低く、誤解されている面があると思っていたせいでしょう。どうにかその誤解を解きたいと必死になっていたところもあります。『枕草子』を軽視する社会にあらがい、『枕草子』を侮る学界に抵抗し、どうにか自分の信ずる『枕草子』像を定着させなければとむきになっていた若き日のわたしがいます。
今、『枕草子』の理解者は随分増えてきて、いまさら大袈裟ですが、わたしの中にはその若いころの残り火がなお、燃えていて、生涯の最後もそんなに遠くではなくなった今、遺言のような思いでお話しました。論文や著書などには書いて来なかったこともたくさんお話しました。そんなわけで、ぜひ、この『枕草子』講座を多くの方にお届けしたいと願っております。
前回の『源氏物語』の時もそうでしたが、この講座の運営にはJPのみなさんの心を尽くした協力がありました。旗振り役の会長の中西さんの励ましを始め、監督の石上さんのコンピュター編集技術、森さんの図作成、資料整備のご助力を得て、ようやく完成にこぎつけました。出版をするよりある意味で大変な作業でしたが、おかげで、きれいで、見やすく、わかりやすいものになったと思います。全体を取り仕切って、怠け者のわたしに発破をかけてくださり、足りないところを補ってくださった瀧田さんにも深い感謝を捧げます。
【関連講座】
- 《日本古典への招待》源氏物語 前半講座 第1回~第6回
- 《日本古典への招待》源氏物語 後半講座 第7回~第12回
- 《日本古典への招待》枕草子 前半講座 第1回~第7回
- 《日本古典への招待》枕草子 後半講座 第8回~第15回<coming soon>